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花のコーナー

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花のコーナー

御園 和穂##

2017年9月 ケイトウ

 あっという間に夏休みが終わってしまいました。
 7・8月は昨年以上に気温が高く暑い夏でした。もう暫くは厳しい暑さが続きますが、彼岸の頃になれば「秋らしい」気配を感じられるようになります。
 花たちも暑さで疲れています。水をしっかり与えて、もう少し涼しくなってきたら肥料を与えましょう。10月に入ると綺麗な花が楽しめますよ。
 もう少しの辛抱ですね。

 今回は、真夏に花を咲かせ、9月の中旬からさらに色鮮やかに美しく開花するケイトウを紹介します。


ケイトウ

画像の説明

学名:Celosia cristata
ヒユ科ケイトウ属(セロシア属)の一年草
原産地:熱帯アジア、インド
別名:鶏頭、韓愛(カラアイ)、セロシア
草丈:20cm~150cm程度

 ケイトウの仲間はアジア、アフリカ、アメリカの熱帯・亜熱帯に50種から60種程が分布しています。

 日本では春に種を蒔いて、夏から秋に楽しむ「春まきの一年草」として親しまれています。
 暑さに強く真夏でも弱らず元気に成長し、花壇植え、鉢植え、切り花として楽しめます。ただし、連日35℃以上が続く気温下では「真夏に強い」と言われる草花でも少し色褪せたり、花数が減ったりします。
 でも、大丈夫! これから徐々に復活しますので気長に待ってくださいね。
 名前の由来にもなっていますが、帯状の花穂はうねりがあり、ニワトリのトサカに似ていることから、中国では「鶏冠(ケイカン)」、日本では「鶏頭=ケイトウ」と呼ばれるようになったそうです。
 ケイトウが日本に渡来した時期は定かではありません。原産地のインドから中国、朝鮮半島を経て、730年代頃(天平の時代)に伝わったと言われています。

『万葉集』に詠まれた、

      秋さらば移しもせむと吾が蒔し
            韓愛(カラアイ)の花を誰か摘み採みける

 詩の中に登場する「韓愛(カラアイ)」は、様々な意見はあるのですが、「ケイトウの花」と言われています。
 当初は食用や染色用の原料として、また薬用植物として栽培されていました。観賞用としての栽培は安土・桃山時代以降、江戸時代には多くの園芸品種が誕生しています。

画像の説明

 特に紅色の花は深紅になり、その美しい花姿に画家たちが屏風絵や襖絵を多く描き残しています(写真:酒井抱一 絵画図鑑参照)

 ケイトウは花姿が独特です。日本では古くから親しまれてきた植物ですが、苦手な方も多いかもしれませんね。
 一般に「ケイトウ」で親しまれている種類は、セロシア・クリスターター(トサカ系)種で、日本の高温多湿の気候に合うため、日本での品種改良が進められてきました。

 花色や花姿は変異が多く、ニワトリのトサカに似た「トサカケイトウ」、花穂部分が丸い球状の「久留米ケイトウ」、羽毛のような形の「羽毛ケイトウ」、花先が尖ったような「ヤリケイトウ」の4つに大別されています。


画像の説明

・トサカケイトウ(トサカ系)  

花穂の下の部分が帯状になるタイプ。花穂は左右にうねった形になります。花穂はモコモコした感触です。


画像の説明

・久留米ケイトウ(久留米系)

1945年頃にインドから持ち帰った種が元に改良されたとされています。花穂は子供のこぶし大の球状で、リアルな表現ですが、脳ミソのような形をしています。
花穂はフェルト地のような感触です。


画像の説明

・羽毛ケイトウ(プルモサ系)

花穂が羽毛を束ねたような形で、フサフサした感触です。
見た目は柔らかそうな感じです。
小型タイプでカラフルな色合いが人気です。


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・ヤリケイトウ(キルドシー系)
 
花穂が細長く円錐形で、先端が「槍」のように尖っています。
花色は濃いピンクのような濃い赤紫のような独特の色合いで、葉もやや赤紫の混じった緑です。



4つに大別されたもの以外に野生化したケイトウもあります。

画像の説明

・ノケイトウ
 
インド原産で花穂はピンク色、細長く、咲き終わった部分から白っぽく変化します。
日本各地で野生化している帰化植物です。
ノケイトウの園芸品種「セロシア」はアレンジメントなどの切り花で流通しており、とても丈夫です。



 草丈は品種によって異なります。小さいタイプで20㎝ほどから大きいタイプだと1m以上になります。
 植付けは、花壇前方の縁取り~中段・後方など大きさによって、どの配置でも楽しめます。花色は品種によって様々ですが、朱赤、黄色、赤、紅紫などがあります。
 育て方は特に難しくはありません。
 園芸店の店頭に苗が姿をみせるのは5月以降です。苗を購入して植える際の注意点は、ケイトウは移植を嫌うタイプなので購入後はすぐに植付け、その際は根鉢を崩さずそのまま植えましょう。
 根がしっかり張るまでは水を切らさないように注意します。その後は土の表面が乾いたらたっぷり与えます。
 肥料は、花壇であれば元肥をたっぷり漉き込み、後は緩効性の化成肥料をゆっくり効かせます。窒素分の多い肥料は避けてください。花が咲かなくなってしまいます。
 花柄摘みは、開花した花の色が褪せてきたら「切り時」になります。花柄摘みをすると脇から次々と花を咲かせます。
 花苗としてあまり見かけない、トサカケイトウや久留米ケイトウは「種蒔き」で楽しみましょう(羽毛ケイトウも種蒔で楽しめます)。
 種蒔きの場合、発芽気温は25℃前後が適期です。関東以西だと5月上・中旬からになります。ケイトウは種が細かく1粒が2mmくらい。
 種蒔用土を黒ポット(直径9cmのタイプ)かバットに入れ、黒ポットなら1つに5~10粒程を蒔きます。軽く土をかけ10日程で発芽します。その後、間引いて育てるか、子葉がで始めたら、根を切らないようにやさしく土を崩し1本ずつ移植します。
 羽毛ケイトウは蒔き時期が遅くなると草丈が低くなり、様々な楽しみ方が出来ます。よって、1回で種蒔を終了させず、時期を少しずつずらして楽しむ事が出来ます。羽毛ケイトウは8月頃まで、トサカケイトウだと7月一杯の種蒔が可能です。
 ケイトウは全て同じように思われますが、トサカケイトウは長日を好みます。日が長くなると花穂が大きく育ちます。また、羽毛ケイトウは短日を好みますので、8月に種蒔をしてその後開花するものは、コンパクトに生育しやや日陰でも色褪せなく育ちます。
 ケイトウは品種によって異なりますが、真夏から晩秋まで楽しめる草花です。草丈や色合いを配慮して様々なケイトウを植え付ける事で素敵な花壇が出来そうです。
 春から育っていた草花が真夏の暑さで枯れてしまっていたら、種蒔には間に合ってませんが、ケイトウ類の花苗で補植すると晩秋まで楽しめますね。



ハゲイトウ

画像の説明

学名:Amaranthus tricolor
ヒユ科ヒユ属 春まきの一年草
原産地:熱帯アジア
別名:カマツカ、ガンライコウ(雁来紅)
漢名:葉鶏頭
草丈:1.5m~2m 
開花期:7月~10月

 同じケイトウの名がついていますが、ケイトウとは近縁ですが属が異なり、厳密にいえば同じ仲間ではありません。
 漢名「葉鶏頭」と書き、真夏に花を楽しむケイトウに対して、葉を観賞する鶏頭(ケイトウ)と言われています。

 日本へは中国経由で平安時代中期頃(950年頃)に入ってきたのではないかとされています。枕草子に「カマツカ」という植物が登場し、カマツカがハゲイトウの古い名前とされています。
 別名のガンライコウ(雁来紅)は中国で「雁が渡ってくる頃に見頃」になる植物としてこのような名称が付いたとされています。
 中国語読みでは「雁来紅=イエイライホン」と読むそうです。
 基本は春に種を蒔きます。大型の草花で品種にもよりますが2m近くになるものもあります。

画像の説明

 成長過程では緑の葉が展開しますが、夏を迎える頃から、先端の部分が色づき始めます。色は赤や黄色、混ざったトリカラー(三色)等様々です。
 移植は苦手です。出来れば直播きをして間引きながら育てます。ポットで育てる場合は、発芽後出来るだけ早く植付けを行います(根鉢は崩さないよう!要注意)。
 根を傷めてしまうと、大きく伸びず、小さいまま葉が色づいてしまいます。
 真夏から色づいた葉が楽しめます。葉の付け根に球状の花が数個まとまって咲きますが、葉に隠れてしまい殆ど目立ちません。
 秋口になり、気温が下がってくると葉色はさらに鮮やかになります。一年草なので、寒くなってくると枯れます。
 花壇では後方に植付けます。見せ方は1本、2本ではなく、集団の塊で見せると迫力満点です。
 写真でみると大きさがわかりにくいと思われますが、葉が茂っている部分で直径が30cm程度はあります。
 真夏に元気に生育しますが、この色合いは暑い時期には「うっとおしい」色合いかも知れませんね。
 現在はコンテナ用の矮性種もあります。
 育て方のキーポイントは種蒔です(苗でも購入できます)。適期は25℃前後。根を傷めないよう、直播きもしくは発芽後、出来るだけ早い時期に移植し、若い苗の状態で花壇に植付けをします。植え付けの際は株と株の間は、最低でも30cm以上開けてください。
 肥料は充分に与えます。少ないと株が十分に育たないうちから葉が色づいてしまいます。立派に育てるためにしっかり肥料を与えましょう。
 また、背が高くなるので随時支柱で固定します。水は土の表面が乾いたらたっぷり与えます。
 ハゲイトウは様々な品種があります。鮮やかな紅色、桃紅色の単色タイプや色づいた葉色が黄色やオレンジ、赤等混ざった色合いで尚且つ蛍光色でとても派手なタイプもあります。
 花壇植えの場合は、他の植物が「色と大きさ」で負けてしまうかも?しれませんが、色合いを考慮して組み合わせすると素敵な花壇の出来上がりです。 
 また、矮性種でコンテナを作成し、花壇の中のスポットとして派手な葉が目を楽しませてくれます。こちらも一度試してみては如何でしょうか。


画像の説明

 最後に、同じ仲間でも真っ赤なヒモのように垂れ下がって花を咲かせる「ヒモゲイトウ(Amaranthus caudatus)」です(写真:植物図鑑参照)
 全体を見ると不思議な姿ですが、花を見ると、小さいケイトウに似た花が沢山ついています。草丈は2m近くにもなります。
 ヒモゲイトウは、観賞用の植物というよりは食用の植物としてよく知られているかもしれません。
 ここ数年、話題のスーパーフード(ヘルシーフード)と言われる穀物の「アマランサス」です。栄養価が高く、ダイエット食品としても注目を浴びているようです。
 日本には江戸時代に渡来し、当時は「アカアワ」として食べられていたそうです。食べる部分は花後の種子です。袋入りのアマランサスはご存じでしょうが、どんな花なのかは知られていません。
 育て方はハゲイトウとほぼ同じですが、一つ異なるのは肥料があまりいりません。真夏に向かって株を太らせながら大きくなります。
 花壇でも楽しめますよ。



 名前は同じですが、厳密には異なる種類の「ケイトウ類」を紹介しました。
 普段よく見かけるケイトウから、最近は見かけなくなったケイトウもありました。割と暑さに強い草花です。来年、チャレンジしてみませんか。

 ここ数年、夏があまりに暑すぎて草花が枯れてしまったり、傷みが激しかったりと悩みが多くなっています。「暑さに強い草花はないの?」と聞かれますが、花壇でお勧めしてきた草花は、それなりに「夏の暑さに強い草花」でした。
 今以上の草花は現状では難しいかも・・・と思います。

 これから先、気象状況がどのように変化するかはわかりませんが、夏の間、さらに気温が上昇するようになったら、真夏は「花壇の土作り」の時期にあてて、花壇は「秋から春まで楽しむ」ようになるかも~しれませんね。

 7月、8月と私も水やりに走り回りました。日中は暑さが厳しかったので、朝早くか夕方から夜に作業をしていました。
 その甲斐があってか、現在、草花は盛り返し始めています。10月をピークに沢山花を咲かせていきたいと思っています。
 「暑くて大変だった夏」も終わります。ずっと夏バテで体調不調だった方は、もう暫くの辛抱です。まずはゆっくり睡眠をとることが一番のようですよ。

(17/09/01掲載) 

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